0人が本棚に入れています
本棚に追加
「それで、どうだった?」
次の日、さっそく母親にボルダリング教室のことを話した、と報告すると、麻里は身を乗り出した。
「最初はダメかもって思ったの。はじめはお母さんも『ボルダリングなんて、女の子には向かないんじゃない』って言ってて。でも、どうしてもやりたいって言い続けたら、『あんたがそこまで言うなら』って。こんど体験教室に行くことになった」
「すごいじゃん! よかったね」
麻里に「すごい」「よかった」と言われてやっと、よかったという実感がわいてくる。その幸福感と一緒に、麻里がいてくれてよかったという気持ちが、フツフツと出てきた。
「麻里ちゃん、ありがとう。麻里ちゃんに背中押してもらえなかったら、私、お母さんに自分のやりたいこと、言い出せなかったよ」
自分でも気持ち悪いくらい素直だな、と思いながら、遥香は思ったままを口にした。やっぱり遥香と麻里は似ている。同じことを考えていた。
「やめてよ、急に素直になっちゃって、気持ち悪い」
顔を見合わせるタイミングまで一緒で、同時にふき出した。
最初のコメントを投稿しよう!