雪原に紅一点

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 通話装置のチャイムが鳴った。  ステーンからだ。 「プラントが完成した。どうすればよい?」 「ドームの中に入って、外部の大気と完全に遮断して。雪の最大効果を確かめたいと思わない?」 「そうだな。この設備の冷却限界を調べたい」 「お安いご用」  ミルクティは<雪蔵>ドームに視線を移した。丸い天蓋と円柱型の建造物が見えた。   「ドームの中は雪がいっぱいで具合がいいぞ。これからどうなる?」  ステーンの声が聞こえた。  ミルクティはドーム内の映像を取り込んだ。ステーンと多数の手下たちが、雪山を珍しそうに触ったり観察している様子が映った。 「雪を降らす。夜の雪は幻想的だけど、あんたたちはわかるまい」  ミルクティは薄く笑った。 「おれたちをコケにしてるのか。幻想的な雪とやらを見せてみろ」 「了解」  少女は遠隔人工降雪装置に手を伸ばした。  通話装置を切って、床に座っているイサムに問いかけた。 「ステーンたちはバカなのかお人よしなのかわからない。単に地球人をいじめて喜んでいるだけ?」 「どうしてそんなことを訊く?」  イサムが顔を上げた。 「警戒心がまるでないからよ」 「そんなことはないよ。あいつらは狡猾で残忍だ。内服用の冷却剤だって薬効成分を薄めて販売して、正規品は凄い高価で販売してる。おかげで、地球人の熱中症患者は増えるばかりだし、第一、まがい物の薬すら手に入らないんだ。あの雪で体を冷やしたら気持ちいいだろうなあ」 「わかった」
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