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水島は国内最大手の人材派遣会社「オーエン株式会社」に勤める会社員。小早川は水島の同期だった。体育会系で上昇志向が強い水島に対し、マイペースで淡々とした小早川は対照的な性格をしている。ただ、貪欲に仕事に取り組む姿勢だけは共通していた。自分とは全く違うアプローチにも関わらず、結果を出していく小早川は、水島にとって新鮮かつ刺激的な存在だった。
どちらかというと、水島が小早川を気に入って積極的に話しかけていたのだが、小早川も悪くは思っていなかったようだ。ややとっつきにくい性格の小早川は1人でいることも多く、本人もその方が心地良かったが、水島の誘いは断らず、2人でよく飲みに行った。
次第に、同期の中でも優秀な2人の存在は際立つようになってきた。水島がライバルとして意識するようになったことに加え、互いに多忙になったこともあり、職場の外で会う機会は減っていた。
3年も経つと、小早川の活躍がそこかしこで聞こえるようになった。新しい企画を打ち出し、次々と成功を収める小早川の活躍をおもしろくない連中は大勢いて、水島も複雑な心境だった。水島も同世代の中では仕事ができる方だったが、小早川はずば抜けていた。
同期であり友人でもある小早川に水を開けられるのは、負けず嫌いの水島にとって屈辱的なことだった。
しかし、妬んでいる暇はない。オレはオレのやり方でやるしかない、と一層、仕事に打ち込んた。
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