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「例えば?」
「そうだな……。今では一概に言えないが、一昔前は、成績が優秀、イコール、医者の道に進むと考える傾向があった。逆に、学歴が低いと、給料の高い仕事にはつけない、とか。また、本当は内向的で人としゃべるのが苦手なのに、営業マンになってストレスを抱えたり。自分の特性を無視した仕事選びをしてしまうのは、不幸の始まりだ」
「世の中、そんなもんじゃないのか?少々、向いていなくても、理想通りじゃなくても、我慢するのが大人だろ。不幸、ってのは言い過ぎじゃないか?お前の言うことは、きれいごとだよ」
「きれいごとに近づきたいから、この仕事を始めたのさ。なんだ、不満そうな顔をしているね」
小早川のいうとおり、水島はいまいち納得できなかったが、なんだか面倒になってきたので追求するのは諦めた。小早川と議論を戦わせるのは、得策ではない。
「で、オレは何をすればいいわけ?」
「適職を考える上で、履歴書などに書いてある学歴やキャリアも大事だが、それ以上にその人自身を知ることが重要だ。ということで、彼女の普段の行動を調査してきてくれ」
「はあ」
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