3.調査開始

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 八重子の調査――、つまりは探偵のような仕事だった。  朝から彼女の自宅マンション付近に張り込み、会社まで追いかけた。帰りは会社で待ち伏せ。どうしてオレがこんなことをしなきゃならないんだ、と思いながらも、水島は愚直に従った。数日もすると基本的な行動パターンはつかめてきた。 「5時半に起床。出社のために家を出るのは7時半。その間、何をしているか、部屋の外から見るだけでは分からないが、通勤時に持っている小さい手提げかばん、あれは弁当を入れているようだ。だから早起きして、弁当や朝食も作っているのかもしれない。8時半には会社に到着。始業は9時だからずいぶん早いな。17時が定時で、すぐに出てくるときもあれば、残業することもあるようだ。早く帰った日は、近所のスーパーに立ち寄っていた。野菜とか肉とか、食材を中心に手に取っていて、ちゃんと自炊をする人の買い物って感じだったよ。趣味はクライミングらしい。たまに仕事終わりに友人と待ち合わせして行って、そのあと食事をしていた。1人で行くこともあったよ」水島は報告した。
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