3.調査開始

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「ふーん。引き続き頼むよ。では僕は社内の様子や人間関係を探るとするかな」 「社内?どうやって?さすがにそれは無理だろ」 「大丈夫だよ」  小早川にぬかりはなかった。オーエンの力を借り、紹介した派遣社員の仕事ぶりを調査すると称して、八重子の会社に潜り込んだのだった。  表向きは調査員。なぜ小早川にうちの会社を動かせるのか、そんな特例が許されるのか、水島は疑問だらけだった。気になるところではあるが、たぶん教えてくれないだろう。そのうち調べてやる、などと考えた。  その時、ふと気づいた。「会社に潜入するなら、瀬戸さんに顔がばれてないオレの方が良くないか?」 「水島にはこの後、もっと大事な仕事があるから、その時まで温存しておくのさ」 「大事な仕事?」 「その時になったら言うよ」  水島は、コイツまた教えてくれないのか、とむくれたが、小早川がオレに大事な仕事を任せるというのは、悪い気はしない。「そうか」といいながら、笑みがこぼれた。
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