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優奈は差し出された画面に映っていた、麻衣のTwitterアカウントのツイートを読み上げる。 「……つらたん」 「82ファボ」麻衣が自慢げに言う。 「愛されてるぅー」 「そそ、ファボリツは愛だからね」 「ははは」 優奈はわざとらしく笑い、大げさに手を叩く。ミニオンの仮装をした若い男が「ナースかわいいー」と優奈たちに叫ぶように言い、後ろから連れの男たちがやめろよと笑いながら止めに入る。 先に歩き出した麻衣を追いかけながら、優奈は雨に濡れた前髪を気にして指で整えた。 「……愛ってなに」 麻衣が急に立ち止まり言う。 二人を避けるように人が通りすぎて行く。 「急にガチ」 優奈は半笑いで麻衣の顔を見た。 深刻な表情で遠くを見たまま動かない麻衣の頬には、雨に濡れた赤い血糊が涙みたいに不気味に垂れている。優奈は「もっかい写真」と自分のスマホを掲げ、我に返った麻衣は優奈のスマホのレンズに向かって上目遣いに表情を作る。 二人で撮ったナースゾンビ姿の写真を添付して、優奈は【#らぶりつください】とタグをつけツイートした。 そのツイートにすぐにひとつ目のいいねがつく。となりでスマホの操作をしている麻衣からだった。 麻衣はミーハーで、イベントごとが大好きで、ちょっと頭が悪い。     
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