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翌日優奈は麻衣に教えてもらったマツエク専門店の入る雑居ビルにいた。初めてのマツエクを終え化粧直しをしたあと、古びたエレベーターで地上階に降りた優奈は、手鏡がわりにスマホのインカメラを起動し自分を見た。スマホを持つ手を調節し、よりまつげが長く見える角度で自分を撮る。Twitterを立ち上げ写真を添付すると、数秒考えてから「渋谷ぼっちなう」とツイートする。 数店のファッションブランドを見て回り、ビルの綺麗なトイレで用を足した後Twitterを開くと通知がある。DMに通知があり誰からかと開く。 麻衣と撮ったナースゾンビ姿の写真を添付したツイートにリプをくれた7trkだった。 ――渋谷でぶらぶらしてるから良かったら飲みませんか。 スマホを閉じ、読まなかったことにして駅へ向かおうと歩き始めた。しかし目の前の交差点の信号の青が点滅し始める。走れば間に合ったけれど優奈は走らなかった。 会ってみたい。いや、会ってみよう。唐突に、けれど強く、優奈は思う。 会おうと決めたとたん心臓が激しく鼓動をうつ。スマホを取り出し、DMの画面を再度開く。「いいですよ」と文字を入力し、優奈はにやける。顔をあげ、周りを見渡し赤信号が青になる前に優奈は来た道を引き返した。 いつもなら無視していたフォロワーからの誘いに応じる気になったのは、マツエクをして気持ちが上がっていたせいもあるが、ナースゾンビの写真に「可愛いですね」とリプをくれたとき7trkのホームで画像を遡ると、上げていた自撮り写真が好みの顔だったことを思い出したのだ。 「6時にハチ公でどうですか?」 「嫌いな食べ物はありますか?」     
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