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花びらのようにちぎったティッシュペーパーに糊をつけ、頬に一枚づつそっと貼っていく。手鏡で作業していた麻衣は顔をあげ、洗面台の大きな鏡で出来栄えを確認し、満足そうにうなずく。 手鏡とティッシュペーパーをカバンに直し、新たに取り出した血糊のキャップを開く。薬指の先に赤いインクをつけ、頬に貼ったティシュの欠片に叩くように少しずつ塗っていく。 「綺麗な傷にしたいんだ」 麻衣が言う。 優奈は答えず、手鏡に映る自分の額に、黒のアイライナーで斜めに線をひく。 麻衣は血糊のついた手を止め、「なんで黒なの?」と優奈に訊く。 「黒で線描いてー、上から重ねて赤塗った方が本物っぽくない?」 「あー、優奈頭いい。美術の成績良かったもんねそういや」 血糊を塗っている麻衣の指に、赤いインクに染まったティッシュの欠片がついている。 「はがれてきちゃう」麻衣が言うと、「ちょっとかしてみ」と優奈が血糊のインクを麻衣から取り上げる。 ハロウィン当日の31日は平日でバイトがあるから、3日前の土曜に仮装して渋谷に行こうと麻衣が優奈を誘った。     
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