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「ばあちゃん! ドテラ貸して!!」
弟は早速、おばあちゃんのいる和室へ突撃している。
私は、とりあえず残りのせんべいをかじりながら成り行きを見守っている。
「そんなもの着たいなんて珍しいねぇ」
と、答えているおばあちゃんは冬になると、いつもフリースのジャケットを羽織っている。
おばあちゃんがドテラを着ていたのは確か、私が小さい頃に見たことがあるような・・・・・・とぼんやり覚えているくらいだ。
弟なんてめちゃくちゃ小さい頃にしか見たことないはずなのに、よく覚えているもんだ。
「今時はフリースの方が軽くて暖かくていいんだよ」
弟がおばあちゃんに今時のことを諭されている・・・・・・。
「着たことないから着てみたいんだ!」
「そう? どこやったかしらねぇ」
だが、おばあちゃんも弟の勢いに押されているようだ。
私もさっき目を輝かせている姿にちょっと押された。
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