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「母さーん!」
今度は洗濯物を取り込んでいる母のところに行ったようだ。
一人で賑やかなやつだ。
「おでん作って!」
「はあ? いきなり何? いつも食べたいもの聞くときは何でもいいとか言うくせに」
あ、これ、前の怒りがぶり返すやつ・・・・・・。
なんて思いつつ、せんべいの近くにあるチョコレートに手を伸ばす。
「おでんって作るの面倒なんだからね」
「そこをなんとか! 俺、母さんの作るおでん大好きなんだよね。味のしみた大根とかさ~、ふわふわのはんぺんとか、めちゃうまでさ。食べたいな~」
「・・・・・・そう言われるとたまにはいいかもしれないわね。なんだか私も食べたくなっちゃったじゃない」
「やった!!」
おお、すごい。
説得に成功している。
偉いぞ、弟よ。
「買い物、行ってきてくれたらいいわよ」
「行く行く! 行きます!」
いつもなら渋るところなのに、嬉しそうに首を縦にぶんぶん振っている。
アホなだけにアホなことにかける情熱はすごい。
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