こたつの正しい使い方

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『いただきます』 「いっただっきまーす!」  家族の声が重なる。  よっぽど嬉しいのか弟だけめちゃくちゃ元気に大声で、隣に座っている私としては耳栓が欲しいくらいだった。  耳がキーンとする。  弟の希望によりエアコンでがんがんに部屋を暖めて、こたつで晩ご飯だ。  部屋の中は南国みたいに暖かい。  机の上には、美味しそうなおでん鍋がほかほかと湯気を上げている。  父、母、おばあちゃん、弟が一斉に鍋へと手を伸ばす。  もちろん私も。  いつもの食事風景、と思いきや父が口を開いた。 「テーブルじゃなくて、こたつで夕食なんて珍しいじゃないか。というか、お前、なんでドテラなんか着てるんだ? いや、それ以前に部屋の中ではそのニット帽とマフラー取れよ。変なやつだな」  父が、不思議そうな顔で弟を見ている。  ツッコミを入れたくなるのはわかる。 「そのドテラ懐かしいでしょ。あたしのタンスにしまってあったのよ。この子がどうしても着たいって言うからねぇ」  おばあちゃんがのんびりと答える。  フリースのジャケットを着込んだ私は、ほくほく気分でおでんをつついている。  いやあ、久しぶりのおでんは美味しい。
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