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僕らは、今の時代を『こたつ時代』と呼ぶ。
きっと、みんな疲れたのだ。仮想世界でも、こたつに頼るようになった。あっちの人達は、段々と来なくなり、この世界の閉園が決定した。
僕らNPCの価値もなくなり、いずれ、この世界と共に消えるだろう。
「ねえ、ユーリ」
「なんだい、イスカ」
僕の前方で、振り返って声をかける少女。
僕らは今、ジャングル奥深くのダンジョンにいる。
陽光に照らされ、荘厳あふれる神殿は石材を積み上げられてできてるような画像データで、長い歴史と文明の果てをプログラミング言語で真似してる。中南米や東南アジアのアマゾン奥深くにあるような遺跡をイメージ。石の壁には蔦が何重にも絡み合い、まるで毛細血管のようだ。
いくつか意味不明な石像もあり、鎧をまとった犬や、剣をくわえた蛇など、さらにはその岩肌を小さな虫モンスターが這って動く。これは、他のゲームエンジンを使って動かしているらしい。このVRゲームは、細かな生態系も存在するという、まるで現実世界そのものを目指したオンラインVRゲームだ。
名前を、『イマジンワールド』。
色々盛りすぎた結果、ファミレスで全料理を注文するかのようなデラックスさになって、尖った個性がなくなる。対戦格闘もできるし、ダンジョンも探索できて、マップに自由に家を建てられ、さらには恋愛要素や、知的なパズルも用意され――胃もたれ、消化不良。
結果。
このゲームは駄作ゲームと判断されてしまった。だから、二ヶ月後にはこのゲームのサービスが終了してしまう。
僕の名は、ユーリ。
この世界に住むNPCだ。
人工知能(AI)は発達し、多少なりとも、狭い範囲でなら、まるで人間のような知性を持つようになった。最近ではそれが裁判沙汰にもなり、道徳的問題やらがどうとかこうとかがさされているが、故にここではそれも問題の一つになって閉園になってしまったのだが。
いや、それって問題解決じゃなく問題放棄じゃん。僕らはこの世界といっしょに捨てられたんだ。
いや、これから捨てられるんだ。
「ねぇねぇ、ユーリってば」
自分の呼び掛けに答えない少年に対し、少女は怒りの声を上げる。
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