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前進
私たち探検隊は今、この世に一つといわれる伝説の財宝を求め、この暗く、深い洞窟の中を進んでいる。
隊員は二人、私と前を進む隊長だ。財宝を探し出し、一刻も早くこの洞窟を脱出しなければならない。
どこまでも暗くなんとなく空気は湿っている、人は滅多に入り込まない場所。道はとても狭く匍匐前進で進まなければならない。
どこかからピターン・・・ピターン・・・と水滴の落ちる音が聞こえた気がするが、気のせいかもしれない。今私たちの耳に入るのは、地面と体がすれる音と、荒い息づかいだけ。
「はあ、はあ・・・」
空気が薄いようだ。息が切れる。
「おい、注意して進めよ!」
私は思わず声を張り上げた。
隊長の進むペースは早い。彼は財宝のことしか頭に無いのだ。なんという勇敢な男。
それに比べて私は隊長についていくのがやっとだ。く・・・こんなに体力が落ちていたのかとこんな状況で愕然とする自分がいる。それはそうだ、隊長は日々、ノンストップで何時間もトレーニングをしているし、このような探検も数多くこなしている。
しかし用心にこしたことはない。闇の中頼りになるのは私が持っているこの懐中電灯だけだ。
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