前進

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 彼が見つけたのは、この間お友達にもらったお揃いの金色のミニカー。 私が見つけたのは、冒険は実はその辺に転がっていて、本気でワクワクできるのを思い出したこと。  二歳の勇敢な隊長は、私の手をひっぱり、もう一度洞窟の入り口に戻って、財宝探しの冒険に出たいみたいだ。 「もう3回も入ったじゃん。」と私が言うと、母が料理やジュースを運びながら向かってきて、 「もうすぐみんなが着くから、そんなところに入ってたら蹴られちゃうから出なさいよ。」と言った。 「じゃあ一旦疲れを癒そうか。」と私が提案すると、隊長はちょっと不満げながらも、あっという間に食卓に置いてあるジュースに目を移して走り去った。 親戚一同が集まる今日は、実家のこたつを三台引っ張り出し、全部つなげて宴会仕様になっているのだ。なんという魅惑の巨大洞窟。もちろん入り込まずにはいられない。 いとこのお兄ちゃんたちが来て腹ごしらえしたら、また冒険に出発だな、と私は思った。
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