第1章

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警察官が自殺した時の銃声で、小屋の周りにいたゾンビが立ち去るのに時間がかかり、散り散りになったあと三々五々と集まり南を目指す人達に置いてきぼりにされる。 警察官が所持していたショットガンと自動拳銃それに弾丸を頂き、遺体に毛布を被せてから俺達も南を目指して出発した。 だが、ガイドがいないため直ぐに道に迷う。 南を目指せば三々五々南に向かった避難民に出会えるかも知れないと思い、取り敢えず南を目指して歩き続けて今に至る。 「そんな事言わないで! 1人で行くって言う智君に、無理矢理くっ付いて来たのは私なのよ。 それに…………そのお陰で今、一緒にいられるんだから、最後まで一緒よ」 「そうか、ありがとう」 「うん! そういえばさ、空だけ見ていると田舎の夜空と変わらないね」 「そう言われればそうだな。 これで星が見えていると異国の空って分かるけど、雪空で星が見えないからな」 俺は返事を返し、リュックサックからスリーピングバッグとスリーピングマットを取り出す。 マットを荷台の上に広げ、1つのスリーピングバッグに2人で潜り込む。 「寒くないか?」 「寒くないよ。 ほら、上だけ、空だけを見ていれば、昔、実家の田圃に寝転がって見た、雪が舞う夜空と変わらないね」 「本当だな」 俺に抱きつき俺の胸を枕にして首を曲げて夜空を見上げる優花の後頭部に、リボルバーの銃口を向け、自分の顎の下に自動拳銃の銃口を押し付けた。 「「ドキューーン!!」」 2つの銃声が重なり合って雪の夜の静寂を破る。 深々と降り続く雪は、血を流し動かなくなった2人の若者の身体を、覆い隠して行った。
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