2話

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直観で購入することを決意した唯加は、すぐさま年老いた医師に連絡を取り、譲ってもらうことに成功した。 最初、若い唯加を見て訝しげだった老医師も、山のように積まれた札束を目にしては笑いを抑えようがない。 「うちは父も祖父も開業医でして。甘やかされたお嬢様みたいなものです」 老医師は社交辞令として事情を聞いてはみたものの、お金の出所など、もはやどうでも良かった。 唯加が辞去するときには、わざわざ玄関まで見送りに出てきて、ただでさえ曲がった腰を力ずくで折り曲げ、その姿が見えなくなるまで恭しく頭を下げていた。
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