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唯加は、診療所の最寄り駅から電車で10分ほどの駅に着いた。肩からはショルダーバックを下げ、長細い紙袋を手に持っている。
昨日の雨は、一度は止んだものの、夕立へと姿を変えて雨脚を強めている。唯加は紺色の傘を差し、雨で濡れるコンクリートの道を歩き始めた。
今日は「商談」ではない。駅からまっすぐ歩いて12~13分。角を曲がると、小さなマンションが現れた。白い外壁に、屋根はモスグリーン。晴れていれば鮮やかに映えるのかもしれないが、今日のような生憎の天気のせいもあってか、唯加には淀んで見えた。
だが、むしろ歓迎されているようにも思えた。
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