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グラスを傾け、明美の手料理に舌鼓を打っていた時間。
唯加は昔からの友だちと会っているかのような錯覚に陥り、ボトルが開いた頃には、すっかり満喫している自分に気がついた。
仕事の話。趣味で通っている料理教室の話。思いを寄せる男性の話。過去の恋の話。学生時代に熱中していたサークル活動の話。饒舌な明美のおかげで唯加は聞き役に徹することができた。
友だちと呼べる人間には、もう長い間、会っていない。それは医者になったときか、それとも例の裏の稼業を始めたときか、いつからかは覚えていない。
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