3話

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3話

坂本は、駅から歩いて8分ほどの古びた喫茶店にいた。 もちろん、都心の駅周辺には全国的にも有名なコーヒーチェーン店が山ほどある。しかし、そういった店は、たいがい席と席との間隔が近く、仕事の話をするのに適してはいなかった。 坂本がカフェや喫茶店でする「仕事の話」といえば、事情聴取の類か同僚やマスコミとの情報交換に決まっている。いずれにせよ、第三者に聞かれるのは好ましくない。 どんなものにも必ず社会的役割があるものだ。賑わっていない古い喫茶店というのは、そういう役割も担っているのではないだろうか。相手を待っている間、坂本はアイスコーヒーを飲みながら、そんなことを考えていた。
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