日葵

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今まで家の中心は日葵で回っていた。それが悠太に切り替わった瞬間だった。土日は必ずサッカーの試合があって、昼から夜の21時まで何かしらの試合が放送されている。 悠太がいる限りはテレビのチャンネルは常にサッカー。21時を過ぎてもスポーツ番組でまたサッカー。水曜日にも不定期で試合が行われていて、この頃は海外の試合も見れるように専用チャンネルを契約した。見ようと思えば何時でも見ることが可能になった。 試合がなくても居間にいれば父と悠太はサッカーの話ばかり。母も中途半端な知識で話しに加わろうとする。だけど、選手の名前を間違って覚えていて、36歳の大久保嘉人というベテランを天才と注目を集めていた久保建英という16歳の青年と混同して、大久保嘉人が16歳だと勘違いをしていた。 訂正してもきりがないので、父と悠太も流してしまう。サッカーなんて興味もないのに、気づいてしまう日葵。日葵が訂正すると、父がサッカーに興味を持ったと勘違いして嬉しがる姿に苛立ってしまう。 日葵にとって居間にいることが苦痛でしかなかった。それでも居間から逃れることは出来ない。この部屋意外に暖房器具がこの家にはなかったからだ。冬の時期に布団をかぶった程度で耐えられる寒さではなかった。
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