【拾ったこたつ】

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「全く… 誰がこんな非常識な捨て方をしたんだろうなぁ」 と、俺は少々呆れた。 通常、こたつの足は『ネジ式』になっているから、 捨てる時は足を四本ともくるくる回して本体から外し、ビニール紐で結わえ、 ゴミ収拾業者が持って行きやすいよう、コンパクトにまとめて捨てるのがマナーというものだろう。 しかし、今、目の前に有るこのこたつは、足が外されてない『まんまの状態』で、ゴミステーシュンのほとんどのスペースを占領していたのである。 (ご丁寧に、天板まで上に乗っけて) 「よし! 家に持ち帰って、使えるかどうか試してみようじゃないか!」 もし、使える物であれば… 元々捨てられていた物だ。 俺が有り難く使わさせて頂くし、 もし、壊れていたなら、またここにこっそり戻しておけば良い。 俺は、周囲に誰もいない事を確認すると、目の前のこたつを自分の車の後部座席に強引に積み込んだ。 もちろん、今日の買い物の予定は中止。 俺は、何となくワクワクした気持ちで自分が一人暮らしをしているアパートへと車を走らせ戻って行った。
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