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俺は、自分のアパートに着くと、
一階のドアの真ん前に車を横付けにして、
積んできたこたつを自分の家へと運び入れた。
「ふう。俺の家が一階で良かったぜ」
一階だから、それなりに大きなこたつを担いで、えっちらおっちら階段を上らなくて済む。
俺は、運び込んだこたつを玄関スペースの壁に立て掛けると、車を駐車場に停め、家へと戻った。
俺が住んでいる部屋は居間兼キッチンとユニットバス、そして居間とは別に寝室が一つ有る。
俺は、玄関から入ってすぐの所の居間のど真ん中に、こたつを置いてみた。
「おおっ!スペース的にピッタリだな!」
あとは…
ちゃんと使えるかどうか…。
俺は、こたつに付いているコードをコンセントに刺し、スイッチを入れてみた。
やがて…
こたつの裏側に付いている、ドーム型の電熱線が…
ゆっくりと赤くなって行った。
そこに手をかざしてみると…
じんわりと温かい…。
「やったぜ!このこたつ!まだちゃんと使えるじゃないか!」
どうやら、これは『アタリ』だったようだ!
「よっしゃ!
このこたつ!今日から俺のモノって事でキマリだな!」
俺は、思わずその場でガッツポーズをした!
と…
「でも、よくよく見たら…このこたつ…
結構、汚れてるかも…」
今頃になって気付いたが、
こたつをあちこち触った俺の手に、
黒っぽい汚れがべったりと付いていた。
まあ、今まで雨風にさらされていた訳だから、汚れているのも頷ける訳だが…
「この黒い汚れ…
一体、何の汚れだろ…」
もしかして『すす』かな…。
『すす』?
「ま、良いか」
俺は、深く考えずにこたつのスイッチを切ると、台所で手を洗い、
物置から洗剤と雑巾とミニバケツを持ってきて、こたつを隅々まで拭き始めた。
こたつは、あちこち汚れていて、特に天板は結構、広範囲に渡って汚れていた。
拭き終わった雑巾を見てみると…
そこには黒いすすの様な汚れの他に、何か赤黒い…正体不明の汚れも、結構な量でこびり付いていた。
「この赤黒い汚れ、何だろう…。前の持ち主が、何か、こぼしたのかな…」
すっかり拭き掃除を終えた俺は、
隣の寝室の押入れから、余分に有る掛け布団を一枚持ってくると、居間のこたつに『セッティング』してみた。
こたつ布団とは違い長方形なので、少しイビツな感じにはなったが、それでもなかなか素敵な見栄えだ。
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