【拾ったこたつ】

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{2} 俺は、自分のアパートに着くと、 一階のドアの真ん前に車を横付けにして、 積んできたこたつを自分の家へと運び入れた。 「ふう。俺の家が一階で良かったぜ」 一階だから、それなりに大きなこたつを担いで、えっちらおっちら階段を上らなくて済む。 俺は、運び込んだこたつを玄関スペースの壁に立て掛けると、車を駐車場に停め、家へと戻った。 俺が住んでいる部屋は居間兼キッチンとユニットバス、そして居間とは別に寝室が一つ有る。 俺は、玄関から入ってすぐの所の居間のど真ん中に、こたつを置いてみた。 「おおっ!スペース的にピッタリだな!」 あとは… ちゃんと使えるかどうか…。 俺は、こたつに付いているコードをコンセントに刺し、スイッチを入れてみた。 やがて… こたつの裏側に付いている、ドーム型の電熱線が… ゆっくりと赤くなって行った。 そこに手をかざしてみると… じんわりと温かい…。 「やったぜ!このこたつ!まだちゃんと使えるじゃないか!」 どうやら、これは『アタリ』だったようだ! 「よっしゃ! このこたつ!今日から俺のモノって事でキマリだな!」 俺は、思わずその場でガッツポーズをした! と… 「でも、よくよく見たら…このこたつ… 結構、汚れてるかも…」 今頃になって気付いたが、 こたつをあちこち触った俺の手に、 黒っぽい汚れがべったりと付いていた。 まあ、今まで雨風にさらされていた訳だから、汚れているのも頷ける訳だが… 「この黒い汚れ… 一体、何の汚れだろ…」 もしかして『すす』かな…。 『すす』? 「ま、良いか」 俺は、深く考えずにこたつのスイッチを切ると、台所で手を洗い、 物置から洗剤と雑巾とミニバケツを持ってきて、こたつを隅々まで拭き始めた。 こたつは、あちこち汚れていて、特に天板は結構、広範囲に渡って汚れていた。 拭き終わった雑巾を見てみると… そこには黒いすすの様な汚れの他に、何か赤黒い…正体不明の汚れも、結構な量でこびり付いていた。 「この赤黒い汚れ、何だろう…。前の持ち主が、何か、こぼしたのかな…」 すっかり拭き掃除を終えた俺は、 隣の寝室の押入れから、余分に有る掛け布団を一枚持ってくると、居間のこたつに『セッティング』してみた。 こたつ布団とは違い長方形なので、少しイビツな感じにはなったが、それでもなかなか素敵な見栄えだ。
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