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わたしは麻里ちゃんにいわれたようにひかるの脈を測る。変化はなかった。嘘をついていると速くなるのだという。
「それをいいだしたなら俺はなんといえばいいんだ」
「してないっていってほしい」
「してない。行ってない。これでいいか」
わたしは目に涙を浮かべる。これはずるいな、と自分でも思い、タイム、といった。
「これは別にひかるに自白させようと思って泣いてるわけじゃないから」
「わかった。休憩だ」
ひかるはわたしから手を放してカバンから本を取り出した。ちらりとなにかの包み紙が見えた。誰かからなにかもらったのか。新しい女からもらったんじゃないか。そんな疑念がよぎって、でも言及したらいい負かされそうで、涙があふれてくる。わたしが突っ伏して泣いているとひかるがタオルをくれる。
「目が腫れて学校から出られなくなるぞ」
「……ごめん」
「まあ、怪しげな行動をした俺も悪かった」
「じゃあホテルにいったの?」
「ホテルにはいってない。これは確かだ。信じてほしい」
ホテルにはいってないというと、クリスマスの翌日、デートはしたみたいに聞こえるのはわたしの耳が悪いのか。
がやがやと二人の女の子の声が近づいてくる。
「どうしよ。泣いてるところ見られたくない」
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