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こんな芸当が出来る人物は、大陸中探し回っても極少数だ。
一見すると唯の眠たげな少女であるが、規格外の力を有している
「マリウス、こっちは片付いた」
「じゃあ助けてくれよ。こいつの相手は手に余る!」
剣をがむしゃらに振り回しているのは、勇者マリウスだ。
相対するはモチウサギ。
その性質はというと、モチモチしてて可愛い。
機嫌が悪いと人を噛む、以上。
「がんばって。ふぁいとー。ウサギなら村人でも倒せるんだよー」
「んなこと言ったってな、こうも早く動かれちゃあ……!」
「キュウッ!?」
「やった! 当たったぞ!」
当たったのは刃ではなく、マリウスの肘だった。
モチウサギが飛びかかってきた瞬間に当たり、それがカウンター気味にヒットしたのだ。
我らが勇者様の大勝利である。
「ウサギ相手に楽しかった? 存分に癒された?」
「うるせぇ。オレはド素人なんだから多目に見ろ」
「そうだね。ちょっと前まで羊相手にしてた人だもんね」
「おっ? 畜産をバカにしたか? もう二度とミルクとチーズ口にすんなよ」
勇者の末裔も9代目となれば相当な人数となる。
その中でも、力や資産を引き継いでいるのは直系の家のみ。
家系図の端に乗るかも怪しいマリウスにはろくな力も、高名な装備も、使命すらも引き継がれない。
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