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このまま少女の命は、暴風の前に散ってしまうのであろうか。
駆けつけたマリウスたちは、この切迫した状況を即座に理解した。
「マリウス。困ってる。助けよう」
「バカ言え。こんな化け物相手にナマクラでやりあえるかよ!」
国からの期待度が極めて低いマリウスには、支援はほとんどない。
彼が持参した武器はひどく粗末であり、刀身は錆びている部分の方が多いという有り様である。
「グワッハッハ! ワシを葬れる程の武器となれば、近くの森に封じられた『退魔の剣』のみ! それさえあれば一振りで撃退できるものを!」
「おい、何でアイツは唐突に攻略法を語りだした?」
「さあ。最初の村だからじゃない?」
「いやいやいや。こっちの事情なんか敵には関係ない……」
「退魔の剣と言えば……伝説の勇者様が使われた事もある名剣!」
「かつての勇者様が片道4秒で現地に向かい、7秒で引き抜いて帰ってきたという、あの剣の事か?!」
「今度は村人まで合わせてきたぞ?!」
「ルーキーに優しい。正直助かる」
マリウスが全力で向かったとして、15秒後には戻ってくることが可能。
通常であれば気にかける事は無いのだが、彼に限っては違う。
「リーザも知ってんだろ、オレが19秒しか力を使えないことを!」
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