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「戦闘に4秒も割けるじゃん。余裕ヨユー」
「それは最短でやれた場合だろ? しかも4秒かそこらで高位の魔族を倒すなんて……」
「グワッハッハ、退魔の剣があれば、ワシを倒すのに3秒とかからんだろうな!」
「アンタちょっと黙っててくんない?!」
トータル18秒。
全てを順調にこなしたならば、マリウスは村を救うことが出来る。
些細なミスすら許されないが。
そのプレッシャーが彼の決断を鈍らせていた。
「待てよ。その剣を抜く瞬間だけ力を使えばいいだろ。そうすりゃ戦闘に10秒くらいかけられる」
「グフフ。この少女を喰らってしまおう。あと30秒後には丸呑みしてくれるわ!」
「おとうさーん助けてー! 私の命は残り30秒よー!」
「あぁ、こんな時に伝説の勇者様が! 20秒足らずで助けてくれる勇者様が居たならば!」
「わかった、わかったよ! 行けばいいんだろクソどもがッ!」
爆風、そして土煙。
力を解放したマリウスは風よりも早く駆け抜けた。
こうなってしまえば乱雑に自生する木々も、群れを為す魔獣たちも障害にすらならない。
行きに少し迷い4、7秒。
力任せに剣を引っこ抜くのに6、5秒。
帰りはさらにスピードを加速させて3、9秒。
見事マリウスは15、1秒という好タイムで舞い戻ってきた。
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