特別読み切り  19秒だけ勇者

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「オウ抜いてきたぞ退魔の剣! これで満足か?」 「グフフ。まさか再び勇者と刃を交えようとはな。此度甦った我が力を……」 「無駄口叩いてんじゃねぇ!」 「グァァアアーーッ!」 ミドルデーモンの胴を一筋の光が走った。 敵の口上を少し聞いてしまったので、倒すのに3、7秒。 18、8秒という、まさに寸でのところで解決に成功したのである。 「勇者様、ばんざーい!」 「伝説の英雄に栄光あれぇ!」 「ありがとう勇者様!」 「調子いいヤツラだよ、まったく」 「これで宿に泊まれる。ご飯もたくさんくれるかも」 無事成功したことを無表情で祝うリーザ。 時間に間に合ったことに心から安堵するマリウス。 だがそんな彼らのもとに、信じがたい報せが届けられる。 「村長! 南の村に魔族がやって来るとの事です! 明日の早朝に攻め寄せるとの予告が!」 マリウスの苦難は、こうして幕を開けたのだった。 ゆとりを持って戦える日々を、彼はいつ迎えることが出来るのだろうか。 ー完ー
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