◆進也の性格とドライブと・・・

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あまり約束の時間に遅れたことのないミホは程なくターミナルに姿を見せた。 「おはよー。どう?ボクのクルマ。先月買い換えたばっかりやねん。中古車やけどな。まあどうぞ。」 進也は助手席のドアを開けて、ミホをエスコートする。ミホはクルマのフォルムをさらっと見渡して助手席のシートへ座る。 「あんまりようわからんけど、かっこええんちゃう。」 「何て言ってウチを出てきたの?」 「お友達と遊んでくるって言うてきたよ。」 「今日は何時までに帰ったらエエの?」 「無事に帰してくれるんやったら何時でもエエよ。ミホも子供やないねんで。」 「そうやったな。ほんなら行くで。」 二人を乗せたクルマは、今日はやや大人しい進也の運転で南へ向かって颯爽とエンジンを噴かせていった。 「シンちゃん、安全運転でお願いやで。ウチまだ死にたないからな。」 「はいはいお嬢様。ヤツガレはお嬢様の意のままに走行させていただきます。」 「ヤツガレって聞いたことある。前にもシンちゃんが言うとった。」 初めて行った焼肉デートのときのエピソードである。ミホもよく覚えていたものだ。 「ホンマは高速道路やったら、もっとかっ飛ばしたいとこやけど、今日はお姫様が乗ってるからメッチャ安全運転してるで。」 そう言いながらミホがスピードメーターを覗き込むと、長い針が真上を指していた。 「シンちゃんも若いな。昔からそんな運転してんの?」 「ミホの友だちもこんぐらいは出すやろ?」 「ミホの友だちとかクルマなんか持ってる人少ないし。あんまし乗ったことないねん。お父さんなんかめっちゃ安全運転やで。眠たくなるぐらい。」 「ちょっとぐらいはスリルがあったほうがエエやろ。普段やったらこの針はもう少し右の方へ傾いてるで。」 すでに三桁の数値を超えているにもかかわらず、進也は不敵な笑みを浮かべている。 「そんなに急がなアカンの?ミホは南の方へはあんまり行ったことがないから、ゆっくりと景色も見たいし。」 「大丈夫やで。長い時間ミホといたいし。ゆっくり行くで。向こうの時間も予約してる訳でもないしな。」 「うふふ。なんかドキドキするなあ。」 少しいつもと違うワクワクした気持ちがミホの表情に表れていた。そんな表情を見て進也も少なからずウキウキしてくるのである。 「シンちゃん面白い音楽聴いてるな。」 「これはな、歌詞がええねん。」
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