◆進也の性格とドライブと・・・

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こういうことに興味津々の進也は、おのずとイニシアチブを発揮してメニューを確定していく。 「シンちゃん面白いな。なんか目がめっちゃ輝いてるで。」 「ボクこんなん大好きやねん。」 「あはははは、ホンマおもろい。子供がおもちゃ選んでるみたい。」 二人はそれぞれ二種類ずつの魚を選んで刺身にしてもらい、それらをシェアしながら食べることにした。 海の見えるテラスでの食事は美味しいに決まっている。流石に屋外のテーブルは遠慮したが、窓際のテーブルが確保できたのは運がよかった。 「ご飯食べ終わったらどうすんの?」 「この先に海釣り公園があんねん。そこへ行こうかなって思てる。」 「寒ない?」 「和歌山やし、昼間のあったかい時間にちょっとだけチャレンジしてみいひん?ボクもあんまり釣りなんかしたことないけど。」 「よっしゃ。どっちが大きいの釣れるか勝負やな。」 ミホも次々と新しいアイテムを繰り出してくる進也の誘いに乗った。 海釣り公園は海鮮市場から徒歩五分。海に面して柵が立てられており、その範囲ならどこでも釣り糸を垂らしてもよいという場所だった。釣り竿とエサは入場料に含まれており、チケットを買えば提供される。沖釣りではないので、まさか鯛が釣れる筈もないけれど、エサの付け方だけ教えてもらって、いざチャレンジ開始である。 海に面しているので風はある程度冷たい。そんな条件も踏まえると、制限時間はせいぜい二時間程度だろう。二人して肩を並べて糸を垂らして五分もすると、最初の当たりはミホにあった。 「ほらっ、来たでっ!」 揚がった魚は五センチほどのイワシか。 「なんや、小さいな。それでもシンちゃんより先に釣れたで。」 進也よりも釣果が先行したことで満面の笑みがこぼれ出る。 「先にやられたな。ビギナーズラックってこのことをいうねんなあ。」 「負け惜しみやな。はよ頑張って釣りや。」 ミホのご機嫌も上々か。やがて進也にも最初の当たりが来る。 「おおっ、ボクにも来たで。」 そこは流石に素人。勢いよく釣竿を上げたは良かったが、針の先には・・・。 「ははは。シンちゃんヘタやな、逃げられたみたいやん。」 「ははは。ボクには向いてないのかもしれんな。せやけどもう一回、今度こそはミホのより大きい魚を釣ったるで。」 なんて言ってる間にミホの竿に当たりがある。 「ミホにも来たで。」
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