◆進也の性格とドライブと・・・

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時計は十七時を指そうとしていた。流石に十一月の夕方は陽が落ちるのが早い。気がつけばあっという間に周りの街灯に明りが燈されている。 二人はまたぞろクルマに乗り込み、マリンシティを背景にエンジンを噴かして立ち去って行った。 県境を越えて海沿いを走るクルマ。進也の次の目的地は関西空港であった。 りんくうタウンから長い橋を渡り、空港の建物に到着する。流石に国際空港だけあってか、陽が落ちても飛行機の離発着は簡単には終わらない。 進也は空港内のレストランでの食事を予約していた。二人がついたテーブルは夜の空港内が見える窓際の良い席だった。 「ボクは運転があるからアルコールが飲まれへんけど、ミホは飲んでもええんやで。」 「ううん、ミホも別にいらんで。」 二人は予約されていたコースの料理を順番に平らげていったが、そのうちにミホはあることに気づく。そしてデザートが出てきたタイミングで進也に問いただした。 「なあシンちゃん。なんか口数が減って来てない?」 「う、うん。」 「どうしたん?ミホ、なんかした?」 「いや、違うねん。」 そう言って進也はコーヒーカップを置いた。 「笑わんと聞いてな。今日は楽しかった。前のデートもその前のデートも楽しかった。ミホといるとずっと楽しい。こんなタイミングで言うのがエエのかどうかわからんけど、ボクはやっぱりミホが大好きや。ボクはミホの彼氏になれんやろか。」 進也としては思い切った告白をしたつもりだった。・・・が、 「うふふふ。ミホはこないだのデートの後から、もう彼氏やと思てたで。そやから唇にキスしたんやで。でも、面と向かって告白されるとうれしいなあ。」 「ホンマに?ホンマにボクでええの?」 「そうやな、ちょっと年上やけど、その年の差を感じひんぐらい楽しいし、なによりもウチかてシンちゃんのこと好きやもん。」 「ありがとうミホ、最高にうれしいやん。」 「シンちゃん、告白してくれてありがとう。せやからな、これからはミホやのうて、リナって呼んでな。それがウチの本名。サトウリナです。よろしくね。」 今日の進也は正直、玉砕するつもりでいた。まさか四十オジサンの告白に、うら若き乙女がイエスと言ってくれるとは思っていなかったからである。
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