◆ミホのラストナイト・・・

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今夜は土曜日の待ち合わせ時間などを連絡すればいいだけになっている。秀雄の誘いを真っ向から断る理由もない。これを機会に報告だけはしておこう。そう思った進也は、就業後に秀雄と肩を並べてホルモン屋へ直行する。 「親方、二人ね。ミックスと塩キャベよろしく。」 注文はいつも通りだ。 「シンちゃん、待ってたで。その後どうなったん?そればっかり気になって夜も寝られんねん。」 今日は秀雄よりも親方のほうが先に話しかけて来た。 「親方には直接関係ないやんか。気にしてくれるのはありがたいけど、それって勿論興味本位やんな?」 「当たり前やん。けど、ヒデちゃんの話よりリアルやさかい絶対面白いがな。ヒデちゃんの話は商売女の話ばっかりやからな。」 秀雄も進也もまずはコキコキのビールで喉を潤す。 「みんなシンちゃんのこと心配してんねんで。離婚した後にちょっとブルーなこと言うから。ほんでもってその後すぐにピンクい話するやろ。興味持つなって言う方がムリやで。」 良い様に取ればありがたい話である。しかし二人の嗜好は興味本位の話題であるに違いない。それはそれで今日は仕方がないと諦めている。 「あんな。例の女の子、付き合うことになった。それだけは報告しとく。せやから、例の店にはしばらく行かへんからヨロシクネ。」 一瞬、目をぱちくりさせていた親方と秀雄だったが、それでも思い出したように秀雄が喰らいつく。 「どんな子なん?いくつの子?どこに住んでる子?かわいい?おっぱい大きい?もうどこまでやった?写真ないん?」 それこそ秀雄の矢継ぎ早の質問攻勢にタジタジの進也。答える前にビールを一息飲んで。 「写真はない。可愛いかどうかは個人差やし。因みに年齢は二十二やったかな。」 「えーっ?そんなに若いん?ちょっと、さながら犯罪の匂いがするで。」 喋りながら興奮しているのか、秀雄の目の前にあるビールジョッキはあっという間に空っぽになる。 「親方、とにかくビールはおかわりや。シンちゃん、ほんでいつココへ連れて来てくれるん。オイラだけやない、親方も会いたいやん。はよ紹介してえな。」 「わかってる。もうちょっと待ってえな。まだお互いが好きやって認めてから何日もたってないねん。もしかしたらボクの勘違いで、あっという間に振られてしまうかもしれんやろ?そやから、もうちょっと落ち着くまで待って欲しいねん。」
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