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「まさかシンちゃんのオウチにケチャップが無いなんて言わへんよな。」
「大丈夫や。ボクは目玉焼きもケチャップ派やから。」
「えええーっ、それはそれでキモいな。目玉焼きはソースやろ。」
どうやら好みの調味料については、後々抗争が起きそうな勢いだ。
それはともかくとして、買い物を終えた二人は十一時半頃に進也の部屋に到着する。
「一応掃除したんやけど、男の一人暮らしやから、ある程度は覚悟してな。」
「わかってる。エロ本とかも片付けてあんねやろ。」
「ご名答。頼むから探さんといてな。」
「シンちゃん正直やな。そういうとこが好きやで。」
「ありがとうございます。さあ、コチラでございます。」
「お招きありがとうございます。」
二人して芝居がかったセリフが続く。
「うん。わりときれい。合格。」
「お褒めの言葉を頂戴しまして感無量の所存にてございます。」
「喋り方がドンドン変になってる。」
進也は玄関から部屋へとリナを引き入れる。進也の部屋はいわゆる2DK。独り身では広すぎるくらいのスペースだが、その分生活空間はゆったりとしている。キッチンはあまり広くない。元々男一人所帯での台所事情などあまり優先されないのが普通だろう。
広めのリビングにはソファとテーブルとテレビ。もう一つの部屋は寝室で、ベッドが備え付けてある。
そんな部屋の中をジロジロと見回して、四方を確認するかのように凝視するリナ。
「エエ感じやな。でも想像してたとおり、ちゃんとしてる。」
「まずはお茶でも淹れるからそこへ座って。」といってソファーの一角を提供する。
「エヘヘ、男の人の部屋に入るって、やっぱり緊張するなあ。」
進也は二人分の茶を持って来てリナの隣に座る。
「ボクかて緊張してるで。この部屋に来た初めての女の子やもん。」
「うふふ。お店のときとはやっぱり雰囲気が違うな。」
「したいことは一緒かもしれんけど。早速シンちゃん座りしてくれる?」
そういって進也はリナの背中を自分の膝の上へともたれさせた。リナがそっと目を瞑る。
同時に進也はリナの唇を奪いに行く。
一息入れた後に「今日はキスが先やねんな。」と呟くリナ。
「お店やないからな。順番は逆やで。」といった後に唇を首筋に移動させる進也。
この空間ではセット時間が決まってないので行程を急がない。抱き合った二人を包むかのように時間は流れている。
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