◆逢瀬、そして契り・・・

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「それ以上はボクがガマンできんくなるやん。」 そう言ってリナの体を呼び戻す。 「愛してる。今はそれしか言葉が見つからん。大切にする、大事にする。リナのことが大好きや。」 「リナも。シンちゃん大好き。」 そしてボクはリナの洞窟へと侵入を果たす。リナの中は熱く激しく沸き立つ泉でいっぱいだった。それでもやはりボクは急がなかった。急ぐ必要もなかった。ゆっくりとワルツのステップを楽しみ、リナの反応に心躍らせた。リナの歌声はバラードのようだった。ときおり変則のステップを踏んだときに聞かせてくれる小鳥のさえずりも心地よい。ステップばかりで息が上がらぬようにターンも組み込む。見つめあう時間も忘れない。 リナの若い、透き通るような肌もボクを奮い立たせる要因となった。ボクのステップがワルツからジャズに変わるとき、今まで犬だった遠吠えが狼に変わる。その変調に気づいたリナは下からそっと腕をさしのべてボクの頭を引き寄せた。 「中でいってもええで。」 その囁きはボクのエンジンを加速する魔法の言葉に他ならなかった。すでに狼と化している傭兵は激しいリズムを叩きながら最後の雄叫びを女神と共にデュエットを奏で、渾身の想いを果たすこととなった。 そして語りは三人称へと戻る。 「ありがとう。」進也の口から自然と出た言葉だった。 「シンちゃんも。」リナもそれに応える。 ベッドの中でリナを抱きしめる進也。まったりとした時間はゆっくりと過ぎていく。 「中でイってもたけど、大丈夫なん?」 「今日は安全日やから。でも出来てもたらアカン?」 「ボクはかまへんけど、お父さんやお母さんになんて説明する?」 「せやな。まだシンちゃんのことも詳しい言うてへんのにな。」 「ん?簡単には言うてあんの?」 「うん。今日も彼氏のところにご飯作りに行って来るって言うてきたもん。」 「そうか。ちょっとドキドキするな。」 「いつか家に連れておいでやって。まだお母さんにしか話してないけどな。」 「いつかあいさつに行かなアカンな。お父さんにはめっちゃ怒られるような気がする。」 「そうかもな。いやいや、先に怒られんのリナやんか。流石に何にも言わんわけにはイカンやろしな。」 「そのときはそのときで考えよ。」 二人は気だるくなった体をゆっくりと休めるかのように、心地よい痺れを堪能していた。
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