◆逢瀬、そして契り・・・

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「もうきたらアカンで。」とか「お幸せに。」という言葉ばかりと思っていたら。 「たまにはおいでや。」とか「今度の指名はウチにしてな。」などといった言葉もあった。 それらの言葉をうっちゃりながら店を出る進也。 「クルマで待ってるから支度ができたら電話してな。」 「うん。」 こうしてミホの『エロチックナイト』ラストデーは終了したのである。 三十分後、ミホから電話が入る。支度が終わったので店の前で待つとのこと。 進也はクルマから出て再び店に向かう。 すでにミホは店の前で待っていた。普段通りの服装だった。濃い目の化粧も落とされていて、普段通りのメイクに近い感じだった。 「やっと終わったな。ココからはもう完全にリナでええねやろ?」 「そうやな。」 そう言ってニッコリと微笑んだ。 「ココから家まで無事に届ける責任は重そうやな。」 「途中でどっかに寄ろうと思てる?」 リナは上目遣いで進也を見つめた。 「いいや。今日は時間も遅いし。こんどからはゆっくり会えるし。ちゃんと無事に帰してあげる。」 「そうなんや。無理やりでも怪しい建物に連れ込まれるんやと思てた。」 「ボク、そんな横暴な人に見える?」 進也の目をじっと見つめるリナ。 「やっぱりシンちゃんは大丈夫な人やった。リナの思てた通りの人やった。」 そう言って思い切り進也の首に抱きつくリナ。 丁度そのタイミングで、店の中からスタッフが出てきた。 「まだおったんかいな。こんなとこでイチャイチャしてんと、はよ帰り。」 リナはペロッと舌を出して、おどけて見せた。 店の前で手を振ってスタッフたちと別れる進也とリナ。進也もリナも、もうこの店を訪れることはないだろうと思っていた。 進也のクルマは近くのコインパーキングに停めてあった。ここからK市まではおおよそ一時間。時間も遅いので道は空いているだろう。そう思いながら進也はクルマを北東へと走らせ始めた。 「今夜のミホはいつもよりステキやったなあ。指名できなんで文句をいうお客さんおったんちゃう?」 「うん、おったで。しゃあないから別の女の子指名して入ってきて、ミホがヘルプにいったとき、最後にチューしたかったって言われた。ブログ読んだ人もおって、エエ人ってどんなヤツなん?って聞かれたし。」 「それで?なんて答えんの?」
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