◆進也の友だちとリナの友だち・・・

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◆進也の友だちとリナの友だち・・・

夜が明けて午前七時。 耳元で目覚ましのベルがけたたましく起床時間を告げていた。 進也は相当に眠い目をこすりながら無理やり体を起こしにかかる。進也はいつもは朝食を食べるタイプだが、今朝はコーヒーだけで済ませた。少し体が気だるい。流石に四十を迎えた体を少し忌わしく思う。 そんな朝、会社では秀雄が手薬煉を引いて待っていた。 「シンちゃんお早う。昨日はどこへ行ってたん。一緒に『エロナイ』に行ってたら面白いものが見られたかも知れんかったのに。」 「ん?」 「何やえらい眠そうやな。昨日な、店を卒業する女の子がおってん。ってオイラんとこには来んかったけど、確かミホちゃんいうたかな、それがな彼氏ができたらしいねん。おっぱいの大きい子やったと思うし、シンちゃんが指名してた女の子やったんちゃうかなと思ってな。」 「それの何が面白いん?」 「オイラは見られへんかったけど、どうやらその彼氏が店に来るっていう噂やってん。これは別のヘルプの女の子に聞いたんやけど。」 「何や、結局見られへんかったんやんか。それに、その子がボクの指名してた子やったとしたら、もうその店には行かへんっていうだけのことやんか。」 あまりそのことに反応を示さない進也に、秀雄は多少の落胆を覚えていた。 「まあええか。シンちゃん、あんまりあの店にはご執心やなかったしな。それよりも、新しい彼女はいつになったら紹介してくれるん?」 ついに話を次の話題に差し替えた。 「明日、夕食を一緒にすることになってんねん。ホルモン屋で待っといて。親方にも紹介しとくし。」 「おお、ようやくその気になったか。何時?」 「七時前ぐらいかな。駅まで迎えに行くから先に行っといて。席が空いてなかったら、そのまま次の店行くし。」 「よっしゃ、明日な。七時な。ホルモン屋な。」 秀雄は自分が話した話題よりも、進也の彼女の方が興味深いようで、それこそウキウキしたようすでスキップするように走り去っていった。 進也はこの日は眠い目をこすりながら仕事をこなし、翌日の分もこなすかの如く、多少食い込み気味の残業を消化してから帰宅した。 後は以前と同様、部屋の片付けと掃除である。リナの初めてのお泊り。風呂もトイレも寝室もパシッと綺麗に整えた。 気がつけば時計の針は午後十時を超えていた。ヘトヘトになりながらも、お休みコールを忘れない。
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