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店に着いたのは十八時二十分。オープンからまだ間がない時間帯だ。見覚えのある受付でミホを指名し、馴染みのシートで待つこと十数秒。ミホがやってきた。
「こんばんわー。」
「こんばんは。ところでボクの名前を憶えてる?」
「もちろん覚えてるで、シンちゃんやろ。」
今夜でまだ三回目の訪問だ。しかし、前回の訪問から今回の訪問まで短い間隔で来てよかった。もうボクのことは完全に彼女の記憶の中にインプットされているようだ。
「今日は来てくれてありがとう。ミホもめっちゃ嬉しい。」
ニコッとした笑顔は他の嬢と違った雰囲気を醸し出していた。
平日と言うこともあり、客としてはボクが店全体としての二番乗りだった。しかし、この客入りの様子だと、今日はまったりした時間が過ごせそうだ。
今夜もボクのちょっとエロチックな遊びの時間が始まる。
まずミホはボクの隣に座る。そして軽くキッスであいさつを交わす。
そのときボクは彼女の目と鼻と耳と口のありかを確認し、しっかりと目に焼き付ける。
そして彼女の唇をその柔らかさを、今度はボクの唇で確認する。しかし、ミホの唇はすでに吐息を漏らしていた。そのうっとりとした顔が可愛い。
他の御仁はどういうか知らないが、ミホの顔立ちはかなりボク好みだ。
ミホは決して飛び切りの美人ではないかもしれない。でもボクにとって可愛ければそれでいいじゃないか。ボクだって万人が誉めちぎるほどの男前でもないわけだし、こんな普通なボクを普通に受け入れてくれるミホの気持ちが嬉しかったりするのだ。
またボクはミホの澄ました顔が好きだった。彼女の顔立ちは高校時代の同級生にもよく似ていて、その同級生の娘ではないかなと疑うくらいだった。実際にボクは彼女の源氏名の由来について尋ねている。
「なあ、ミホって本名じゃないやんな。どうやってつけたん?」
「面接のときにな、どんな名前にするって言われて、テキトーに浮かんだ名前がミホやった。もっと変わったキラキラした名前にしたら良かったなって今にして思う。」
「キミはボクの高校時代の同級生によう似てる。その彼女の名前が美穂やった。なんでか知らんけど、あだ名はスイカやったけどな。少なからずボクはその彼女のことが好きやってん。せやからミホのことボクの中ではすごい懐かしい印象があんねん。彼女の娘かと思たぐらいや。」
どうやらボクの妄想は違っていたようだ。
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