◆進也の友だちとリナの友だち・・・

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「せやけどミホと似てる気がするんやなあ。まあええか。」 進也とリナは目を合わせてニッコリ微笑む。 「これからはあんまりヒデちゃんの飲み会に付き合えんようになるかもしれんけど、そんときはデートやと思といてな。それと、あそこにはもう行かへんで。」 するとちょっと意地悪な目でリナが進也に詰め寄る。 「シンちゃん、あそこってどこ?」 「内緒。」 ウインクしながら答える進也。 「ふふ。」 リナもウインクで答えた。 親方はその様子を見て何かを察したようだったが、何も言わずにリナに話しかける。 「なあ、リナちゃん。おっちゃんとこ、こんな店やけど、たまにはシンちゃんと一緒に来たってな。美味しいもん用意しとくし。」 「はい。このホルモンも美味しいです。」 いつの間にかいい頃合に焼けていたホルモンを美味しそうに頬張っていた。 「色々入ってるから、味も食感も色々楽しめて美味しいねん。ビールも進むし話も進む、エエ店やろ?シンちゃんがおらんでもオイラが連れてきたるで。いつでも奢ったるさかい、いつでも電話してな。」 「うふふ。シンちゃんの友だちって面白いな。」 そんな会話をしているところへ親方がどんぶり鉢を二つ持ってきた。 「シンちゃん、これ、ワシからのお祝いや。食べたって。」 それは立派な肉の網焼きステーキ丼だった。 「この店って、こんなええ肉も置いてたん?」 秀雄が目をクリクリさせながら親方に詰め寄った。 「今日は特別に仕入れといたんや。昨日、ヒデちゃんから聞いてたからな、シンちゃんが彼女連れてくるって。」 「ほんで、オイラの分は無いんかいな。」 「ヒデちゃんもお祝い事があったら用意したるがな。順番で言うたら、離婚するか孫ができるかどっちかやろな。」 「アホ言いな。どっちもオイラにとっては不幸やないかい。」 それを聞いて進也が突っ込む。 「えっ?そんなに嫁さんのこと愛してたっけ?」 「嫁のことやない。慰謝料のことや。おヌシも払ろてるやろ。オイラとこの場合は、たぶんシンちゃんとこよりぎょうさん払わなあかんやろ。なんせ品行方正やからな。」 それを聞いたリナは心配そうな顔で進也を見た。 「シンちゃん慰謝料払ってんの?」 「一応な。せやけど大したことないで、ボクはホンマに品行方正やったから。元奥さんも働いてるし、子供の養育費の一部だけや。」 そこで親方が助勢してくれる。
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