◆進也の友だちとリナの友だち・・・

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「シンちゃんとこはな、誰が悪いわけで離婚したんちゃうねん。前の奥さんもココへは連れて来たことあるけど、ワシはあの女はシンちゃんには合わんと思たな。それにシンちゃんは優しすぎるから、それが当たり前になってしもたことも原因やと思うけど。」 「親方、シンちゃんの優しいのは女にだけやで。オイラには全然優しくないで。」 すかさず進也が反論する。 「別に優しいつもりはないで。相手のことを気遣ってるだけやん。ヒデちゃんのこともいっつも気遣ってるで。」 すると親方が少し怖い顔をして進也に進言する。 「シンちゃんの気遣いはようわかる。せやけど、その気遣いが伝わる人と嫌がる人と両方おるってことを考えや。前の奥さんはそういう人やったやろ?」 「そうかな。」 するとリナが口を挟んできた。 「シンちゃんって、ちょっとメンドクサイ性格なとこあると思う。ウチはそれが楽しいし優しさは嬉しい。」 「リナちゃん、こいつはどんな女の人にも優しいねんで。」 すると親方がすぐさま訂正してきた。 「ちゃうで、どんな男の人や女の人にもや。ワシは見てたらわかる。ヒデちゃんにも優しいやんか。だいたいお前ら喧嘩してるん見たことないし。だいたいシンちゃんがヒデちゃんに合わせてることの方が多い気がするで。」 「まあ今日はシンちゃんのお祝いの日やから、シンちゃんに肩を持たしておくわ。」 「どうでもええから二人とも、肉が冷めんうちに食べや。」 「いただきまーす。」 リナは肉が大好物と見えて、ホルモンをつまみながらステーキ丼を食べる。 「しっかし、ええ食べっぷりやな。そがいに美味しそうに食べてくれたら、出した方も嬉しなるわ。」 親方の顔が満面の笑みになっていた。 「そろそろ腹も膨れてきたな。二次会はどうする?」 秀雄はさらに次の店に行こうとしていた。 「ヒデちゃん、明日も仕事あるんやで。今日は金曜日ちゃうで。」 進也は秀雄に忠告した。 「お前らはこれからどうすんねん。」 「軽くコーヒーでも飲んで、彼女を駅まで送るがな。」 まさか今日はウチに泊まる予定だなんて言えなかった。 秀雄は疑わしそうな目をして、 「いやいや、二人してどっかへしけこもうと思てるやろ。」 すると親方は秀雄に忠告する。 「そうかもしれんから、今日のところは邪魔しんとき。」 諦めたように呟く秀雄。
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