◆思い出す・・・

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「な、ちょっと右の方がおっきいやろ?」 正直なところ、ボクにとってそのわずかな違いなど判るはずもなかった。それよりも薄暗いながらも妖しい光に照らされている、彼女の綺麗なおっぱいに魅了されるばかり。 ボクのようなおっぱい目当てのスケベなオジサンはこういうシチュエーションに弱すぎる。 しかも、ミホはエッチなサービスも満点だ。 気持ちのいいキスも惜しげもなく提供してくれる。 「ミホの恋人って何歳までやったらOKなん?」 「えーっと。」 ミホはボクの年齢を探るようにして考えている。おそらくはボクの年齢を最上限ぐらいにして答えるつもりだろう。 「三十五歳ぐらいかな。」 それはボクがそれぐらいの年齢に見えるってことかな。 実際にボクは実年齢よりは若く見えるようだ。 あんまり苦労してないせいか、おつむがあんまり良くないせいか、これまでいろんな人と対話をしてきて、実年齢より上に見られたことはなかった。 「じゃあボクも立候補できるってことやなあ。」 「へへへ。」 ちょっと安心したようにニッコリと微笑む。 「でもボク、実は四十歳になってもてんねん。やっぱりあかんやろか。」 「シンちゃんが愛してくれるんやったらええで。愛に年齢は関係ないっていうし。」 「ほんなら、恋に落ちてもええかな。」 「落ちてみて。」 疑似恋愛の空間だから、想像も想定も思いのままである。言うのも勝手だし、思うのも勝手である。しかしこの時のボクは半分以上本気モードだったかも。 それほどまでにミホは魅力的だった。 やがて、延長の時間も終了を迎える。三度目の逢瀬としては十分だった。ボクはそれなりの満足感を抱いてこの日を終える。 かなりの後ろ髪をひかれながら。 四月も終わり、あちらこちらの街で人ごみがウジャウジャするゴールデンウイークが幕を開ける。 ボクは人ごみがあまり好きではないし、子供たちもどこへ連れて行けとも言わないし、奥さんもかなりの出不精だったので、我が家はほとんどゴールデンウイークに出かけたことがない。 逆に言えば、家でのんびり出来るヴァケーション的な休みなので、退屈を贅沢に使う何日間となるのが毎年のことであった。 だからといって、このゴールデンウイークにミホに会いに行ったりする訳ではない。
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