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「だからな、そんな約束したらアカンて言うたやろ。お客さんに誘われても行ったらアカンねん。」
「そうやった。忘れてた。」
「他のお客さんとも約束してんの?」
「そんなんしてへんで。シンちゃんやからエエかなと思てるだけやもん。」
またぞろオジサンのハートを射抜いてくれる。
本音を言うと、彼女とデートしたいのは山々である。ちょっぴりエッチなことを考えているのも事実である。
しかし、彼女の同意なくして不条理な行為が行われてはいけない。そして、彼女の身の安全を確保しなければいけない。それが大人としての責任でもある。
「あのな、ボクは安全かも知れへんけど、それでも百パーセントやないで。ミホのことが好きになったら、いつ狼になるかもしれへんし。それに、安全やと思てる人がそうでない場合もあるんやから、やっぱり外でデートするのは基本的にアカンで。」
「うん、わかった。」
「ほんで、夜やったらいつが行ける?」
「ええっと、金曜日とかでもええで。」
「せやからアカンて言うたやん。」
しばらくこの会話で遊べるから面白い。
もちろん、彼女もわかってボクの相手をしているのである。
ボクも誘う時は本気だが、いけないことをしている気持ちもホントのことなので、ボクの気持ちの中だけでも、それだけの葛藤があったりするのである。
この会話が落ち着くと話題を変える。
「ところで、ブログは書かへんの?」
彼女は入店当初、ブログの書き方をスタッフに教えてもらったときの初投稿以来、まだ一度も更新したことがなかった。
「ミホあんまり得意やないし。」
「せやけどな、お客さんかって見てるかもしれんし、書いたほうがええよ。ネタが欲しいんやったら提供してあげるし。」
「うん、わかった。なるべく頑張る。」
そう言いつつもあまり積極的ではない様子だ。
こればかりは得手不得手があるらしく、あまり得意ではない嬢が何人かいるようだ。
しかし、この店のベテランたちは的を得たようにポイントどころでキチンとブログをアップし続けている。
ミホも含めてニューフェースの嬢は、おねいさん方のじゃまになり過ぎないように、適度にブログを使って宣伝した方がいいに決まっているのだが・・・。
機会があったら、ボクの方からできるだけネタを提供してあげよう。
個人的には、お気に入りの女の子があんまり人気にならない方がいいんだけどね。
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