◆ブログとお土産と我慢・・・

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◆ブログとお土産と我慢・・・

六月に入り、ボクは東京出張へ出かける機会があった。 出張の業務自体は大したこともなく、必要だったかどうかも疑問のある会議だった。その分、東京駅での時間にゆとりがあり、みやげ物を買う時間がたんまりと与えられていた。そこでボクはミホへお土産を買って帰ることを思いつく。 「ミホヘ。東京出張ナウ。お土産は何がいい?」 とりあえず午前中のうちにメールを入れておいた。返事が返ってきたのは午後になってからだった。いいタイミングだ。 「ミホは『ごま玉子』がいい。」 なんと楽勝なお土産だ。それなら東京駅のいたるところで売られている。 しかし、ボクは折角の機会を単純なスキームで終わらせるつもりはない。ちょっと足を伸ばせば、変り種の『ごま玉子』が売られている店を知っているからである。 これでミホヘのお土産は決まった。大阪へ帰る翌日が水曜日であるのもグッドタイミングだった。 そしてその水曜日を迎える。ボクはまたぞろ『エロチックナイト』の前に立っている。 時間はいつもの通り午後六時三十分。受付でミホを指名して、いつものシートで待っていると、いつもの笑顔でやってくる。 「やっぱりシンちゃんやった。」 「へっへー。今日はリクエストのお土産持ってきたで。」 そう言って鞄から取り出したのは《ごま玉子 キャラメル味》。 「へえー、すごーい。今こんなんあるんや。初めて見た。」 ミホの楽しそうな声を聞いて、ボクも嬉しくなる。後日、このネタでブログをアップしているのを発見する。これは後々使えるかも、と一人でほくそ笑む。 「ところでミホって一人で住んでるん?」 「ううん。家族と一緒やで。」 「ホンマに?ホンマは誰にも言うてへん彼氏と一緒に住んでるんちゃうの。」 「そんなんいてへんし。」 「ほんなら、ボクも一緒に住んだろか。」 「シンちゃん、結婚してるんちゃうん。奥さんどうすんのん。」 「丁度今、離婚調停中やで。離婚できたらええのんか?」 「ホンマにできんの?出来るんやったらエエで。」 それが本当なら、是非ともトライしてみたい事項である。 どうせボクたち夫婦の関係は条件さえ合えば、後はハンコを押すだけで離婚が成立する状態である。子供たちもすでに父親など要らない年齢になっているし。ボクはただ生活費を運んでいるだけの存在にしかなっていない。すでに離婚成立までの秒読み段階に入っていると言っても過言ではなかった。
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