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ほんの数分程度の留守であるが、その間のロンリー度ったらない。特に今日は一切ノータッチ状態なのだから、スケベなオジサンとしては何しに来たかわからぬ状態である。
そんなヘルプにも三度、四度と奪われ、指名嬢にも手を出せず、それでも一通りの時間は過ぎるのである。
やがては、場内コールが聞こえてくる。
=十一番テーブル ラブアタック=
延長お願いの催促をしなさいのコールである。
「ミホ、ラブアタックって言うてるわ。」
「もう帰るん。今日みたいな辛い日にミホの傍におってくれへんの?」
「あのな、ミホが辛いのもわかるけど、ボクの辛いのもわかってな。ご馳走を目の前にしてノーキス、ノータッチ、ノークンクンで二時間は地獄やで。」
「ミホ、ホンマは人見知りやからヘルプに回るん辛いねん。知らん人とか多いし、指名のお客さん怒らしたらあかんし。」
「せやけど、指名のお客さんやったら、結構なサービスせなアカンはずやで。ボクやからガマンできてるけど、他のお客さんかてダメダメのサービスがガマンできるかな?」
「サキさんが塩対応やっていうてたやん。ホンマはミホも塩対応の人やねん。」
一度だけサキさんという嬢がヘルプに来たが、彼女のお客さんはお話だけの人が多いと聞いた。つまりは塩対応だねって言う話をしたことがあったので、ミホがサキさんを羨ましがっているのである。
ボクはそれでも当初のエピソードを踏まえながら、
「あんだけボクには楽しいことしてくれたのに?」
「シンちゃんはなんか許せんねん。でも他の人はあんまりやわ。」
「頑張ってMっぽいお客さん見つけや。それしか方法はないで。せやけどボクだけには、冷たくせんといてな。」
「シンちゃんは大丈夫やで。でも今日はゴメンな。」
「ええで、こんな日もあるやん。今度は元気で明るい笑顔見せてな。」
始めのお約束通り、最後にちゃんと抱っこのタイミングだけもらって、今日は店を後にした。さて、このやりきれない何かを今日はどうやって果たそうか。
どうにも中途半端なモンモンした時間を過ごした夜。
今夜は仕方ない。それだけ彼女も普通の女の子だっていうこと。
まともに考えれば、不特定多数のオジサンの相手をさせられるんだから、よく頑張ってると思う。どれだけお金のためと割り切れるか。
ボクの個人的な主観としては、できるだけ優しいお客さんでありたいと思うだけである。
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