◆コスプレイベント・・・

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◆コスプレイベント・・・

天気の様子と同様に中途半端な逢瀬を過ごした六月が開け、期待に胸を膨らませる七月がやってきた。すでに梅雨明けの宣言はなされていた。 カラッと晴れた陽射しは一瞬で、後はギラギラとした夏の厳しい陽射しに変わる。 そんな七月には納涼ついでにミホに会いに行こうと考える。 どうせ窓のない密室のような部屋なのだから、エアコンはガンガンに効いているだろう。 一つ気になるのは、嬢たちが薄手の衣装をまとっていること、女性たちは皆一様に冷え性であること。 ともあれ、ミホに会いたいのはどのみち同じ事だ。暑くてもいいや。 ところが今回の訪問は水曜日ではない。 以前にもあったのだが、先週末ぐらいにメールが届いていた。 「今週の水曜日はお休みします。代わりに金曜日に出勤します。」だって。 流石に平日とはいえ金曜日はいわゆる「花金」。週末に羽目を外したいサラリーマン親父たちがこぞって来店する。 だから金曜日は比較的出勤している嬢も他の平日の曜日よりは多い。 そんな曜日にオメオメと出動するほどボクもお人好しではない。つまり、この週のボクの出動日は月曜日となるのだ。 初めての月曜日出動。少し緊張した面持ちだ。 今日もヒデちゃんには内緒で、そそくさと仕事を終わらせる。十八時きっかりに会社を後にして駅に向かうボクは、いつもとは違う緊張感を持って店に向かっている。 七月にもなると夜になっても都会の気温はさほど下がらない。アスファルトの熱もまだ冷めないままの夕暮れは、歩くたびに汗がほとばしる。 店の前に着いたのは十八時三十分を少し回ったところ。ヒデちゃんから教えてもらった口臭予防液をトイレで活用することを忘れない。 そして受付のボーイさんとは、今までと同じような会話を交わす。 「いらっしゃいませ。ご指名は誰にします?」 覚えてもらうまでに何回かかるのだろう。それでも嫌な顔をせずに答える。 「ミホさんをお願いします。」 そしていつものシートへと案内されるのが、いつものルーチンなのである。 やがてミホがやってくる。 今日はなんだかいつもと違う衣装だ。そう、この店はたまにイベントを行うのである。 今宵はバスローブイベントだって。嬢たちは思い思いのバスローブを羽織って客の隣や膝の上へと座っていく。 ミホのバスローブは黄色くて可愛いタイプの衣装だ。 「やあシンちゃん、来てくれてありがとう。」
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