◆偶然と焼肉・・・

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受付のお兄さんにミホの指名を告げて、いつものフロアへ。 「シンちゃーん。久しぶりぃ。」 確かに久しぶりである。実に前回の逢瀬から三週間が経過している。こんなに間隔があいたのは風邪を引いたとき以来だ。 「会いたかった。ミホは?」 「ミホも。」 そう言ってボクたちは、まるで本物の恋人同士であるかのように熱い口づけを交わす。 ネットリとしたあいさつは数分間にも及んだ。 「こっちへもあいさつしてええかな。」 そう言ってボクはミホの小さなビキニの内側へと侵入を目論んだ。 「うふふ。ええよ。」 そういって体を預けてくれる。 ボクは美しいその曲線をまずは目で堪能し、次に唇で愛でに行く。その匂いはボクの鼻腔から脳裏へと突き抜ける。 やがてボクはミホの体を離して、「今度の土曜日やけど?」と問いかけてみる。 ニコッと微笑んで、「何が?」って聞くミホ。少し意地悪っぽい笑顔で応える。 「焼肉屋の予約を入れたままなんやけど。」 「うふふ。ホンマに予約したの?」 「ミホがやっぱりダメって言うんやったらキャンセルするけど。」 「ホンマに連れて行ってくれるん?」 「襲うつもりはないけど。狼にならない保証はないで。」 「シンちゃん優しいから大丈夫やし。」 これで土曜日の焼肉は決定だ。今夜はミホをホントの彼女であるかのような錯覚を起こすまで、彼女の体と彼女の匂いを満喫して帰ろう。そう思った。 「焼肉が終わったら、旅行の計画もしてええかな。」 「それはまだ早い。まずは焼肉が終わってからやで。」 外の空気は灼熱の太陽に焼き切られ、突き刺さるような熱風がビルの谷間を舞っている。店の中は程よくエアコンが効いているので、お互いの体温を確かめ合っても汗が滴り落ちる心配はない。 今日もミホの香りは程よくボクの脳裏を刺激してくれる。またぞろボクをいけない世界へ陥れる匂いでもある。形の良い曲線のラインは、小さなビキニの影からボクを誘惑し、懇願のまなざしをもって参拝へと誘うのだ。 少し優越感を感じながら「ええよ」と答えるミホの笑顔がボクにとっては、まるで主人に「おいで」といわれて、はしゃぎながら駆け寄る犬のような喜びようで突き進んでいく。 ミホの事を欲しくないと言えばウソになる。自分だけのものにしたいと思うのもホントである。年甲斐もなく、若くて可愛い女の子に溺れていく自分がどうしようもなく哀れだ。
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