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受付のお兄さんにミホの指名を告げて、いつものフロアへ。
「シンちゃーん。久しぶりぃ。」
確かに久しぶりである。実に前回の逢瀬から三週間が経過している。こんなに間隔があいたのは風邪を引いたとき以来だ。
「会いたかった。ミホは?」
「ミホも。」
そう言ってボクたちは、まるで本物の恋人同士であるかのように熱い口づけを交わす。
ネットリとしたあいさつは数分間にも及んだ。
「こっちへもあいさつしてええかな。」
そう言ってボクはミホの小さなビキニの内側へと侵入を目論んだ。
「うふふ。ええよ。」
そういって体を預けてくれる。
ボクは美しいその曲線をまずは目で堪能し、次に唇で愛でに行く。その匂いはボクの鼻腔から脳裏へと突き抜ける。
やがてボクはミホの体を離して、「今度の土曜日やけど?」と問いかけてみる。
ニコッと微笑んで、「何が?」って聞くミホ。少し意地悪っぽい笑顔で応える。
「焼肉屋の予約を入れたままなんやけど。」
「うふふ。ホンマに予約したの?」
「ミホがやっぱりダメって言うんやったらキャンセルするけど。」
「ホンマに連れて行ってくれるん?」
「襲うつもりはないけど。狼にならない保証はないで。」
「シンちゃん優しいから大丈夫やし。」
これで土曜日の焼肉は決定だ。今夜はミホをホントの彼女であるかのような錯覚を起こすまで、彼女の体と彼女の匂いを満喫して帰ろう。そう思った。
「焼肉が終わったら、旅行の計画もしてええかな。」
「それはまだ早い。まずは焼肉が終わってからやで。」
外の空気は灼熱の太陽に焼き切られ、突き刺さるような熱風がビルの谷間を舞っている。店の中は程よくエアコンが効いているので、お互いの体温を確かめ合っても汗が滴り落ちる心配はない。
今日もミホの香りは程よくボクの脳裏を刺激してくれる。またぞろボクをいけない世界へ陥れる匂いでもある。形の良い曲線のラインは、小さなビキニの影からボクを誘惑し、懇願のまなざしをもって参拝へと誘うのだ。
少し優越感を感じながら「ええよ」と答えるミホの笑顔がボクにとっては、まるで主人に「おいで」といわれて、はしゃぎながら駆け寄る犬のような喜びようで突き進んでいく。
ミホの事を欲しくないと言えばウソになる。自分だけのものにしたいと思うのもホントである。年甲斐もなく、若くて可愛い女の子に溺れていく自分がどうしようもなく哀れだ。
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