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「香水の匂いせえへんね。他の女の子は結構な匂いをプンプンさしてるけど。」
「昼間も仕事してるから、あんまり香水とかつけられへんねん。つけたほうがいい?」
「ボクとしては今のままがいい。」
考えてみれば、通常の世界では奥さん以外の女性にそのような行為に及べば、強制的に塀の中へ直行させられる。それがわずか(でもないが)数千円である程度までは達成できるのだから、進也としてはそれで充分だった。しかも好みのタイプのボディーをである。
しばらく女性の体から遠ざかっていた進也は、彼女のふくよかで若くて美しい体に翻弄されながらも、適度な満足感を得ていた。まるで今まで忘れていた女性の体を思い出したかのように。
以前の進也なら、最初の1セットだけで帰ってしまっただろう。過去に一度、秀雄に連れられて行った時はそうだった。しかしこの日は彼女の美しい曲線に魅せられてか、躊躇することなく延長を申し出ている。1セット四十分だから、2セットで一時間二十分と言うことになる。この時間をフルに使って、進也は心地良くて柔らかい女の体を思い出しながら官能を楽しんだ。
結果的にその夜は秀雄も進也も思いのほか満足して帰宅することになるのであった。
「どうやった、そこそこ楽しかったやろ。オイラの友人に感謝したってな。」
「そうやな、たまにはこんな遊びもええんかもな。それにボクについてくれた彼女はとっても可愛くて、ええ匂いがした。あの匂いは堪らんな。癖になりそうや。」
「シンちゃん、そんな匂いフェチやったっけ?初めて聞いたで。これは面白い。」
進也の新しい一面を発見した秀雄はたいそう喜んだ。
それは鶯が鳴き始めたのもまだ気づかない如月の浅い夜のことだった。
後日、職場で進也と秀雄とであの店の話になると、異様に盛り上がっていた。実は秀雄はその後も進也に内緒で、そこそこ通っていたらしい。
当時は物珍しさと、その時に相手をしてくれた彼女の印象がとてもよかったので、しばらくはずっと進也の記憶の中に残っていた。
されど、セクシーキャバクラと呼ばれるその店は普通のサラリーマンが毎週のように頻繁にゆったりと満喫できるほどリーズナブルではない。彼が通うには出張時の経費を節約したり、小遣いを色々と工面したりしなければならなかった。
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