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◆一人称再び・・・
待ちに待った水曜日。ボクは東京で買ったお土産を鞄に詰めて店に向かった。
今までと同じように扉を開けて、今までと同じように受付を済ませる。そして今までと同じようにツーショットのシートへと案内されて、今までと同じようにミホを待つ。
「やあシンちゃん。今日も来てくれたん、ありがとう。」
「一応、予定通りの水曜日やからな。それに、ほら、例の。」
ミホは不思議そうな顔をしてボクの目を見つめ返す。
「東京へ出張やって言うてたやろ。」
ボクは鞄からお土産を取り出してミホにお土産を手渡した。
「ほら、約束のごま玉子。変り種やけどチョコ味やで。期間限定って売ってたからこれにしたんやけど、どうやろ?」
「うわー、すごい。今どき、こんなんがあるんやね。」
ミホは目をクリクリとさせながら箱を回す。
「さあ、ご褒美をもらってもええかな。」
ボクはミホの唇を貰いに行く。
「ええよ。」
ミホもボクの首に腕を回してボクを受け入れようとする。
今夜も甘い吐息とネットリとした女神様の歓待から始まる。
「これ、皆でわけわけしてもいい?」
「皆ってそんなに沢山入ってないんちゃう?何個入りって書いてある?」
ミホは箱の裏書を見つけて、
「五個入りって書いてある。ちょうど今日来てる女の子五人やし、ぴったしや。」
「それやったらええよ。ちゃんとシンちゃんのお土産って言うといてな。いやいや、ボクの名前を知ってる人っておらんし。」
この時は、もしかしたらマヤさんに名前を知られるのは良くないかもと思っていた。今夜はヒデちゃんのオキニ嬢であるマヤさんも出勤しているのだ。
「お客さんからもらったって言うわ。」
「それでええんちゃう。皆でワケワケするのって、ミホ優しいな。」
ボクはミホの頭を撫で撫でして、そして抱き寄せる。
「それはそうと、こないだのデートはどうやった?」
二回目のデートを終えて、帰り際に「楽しかった」とだけ聞いたが、その後の詳しい感想をまだ聞いていなかった。
「シンちゃんがあんなにボウリングがヘタクソやったのは面白かったし、シンちゃんが女の子を連れ込むためのレストランがどんなとこかわかったし、それにシンちゃんが狼やないってのもわかったし、また行ってもええで。」
「へへへ、二回目までは安心させとくのがボクの手やねんで。三回目は狼になること間違いないな。」
ミホはボクの耳元でそっと囁く。
「できひんくせに。」
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