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進也は「余計なお世話だ」と思ったが、口に出しては言えない。そもそも行っていないわけじゃないし、内緒にしているだけなのである。しかもオキニの嬢とは次のデートの約束まで取れているし、今夜は店にミホはいない。進也は困ってしまった。
「ほんならな、ボクがヒデちゃんのオキニ嬢でええか?」
搾り出した末の究極の妙案であると思ったが、そんなことでへこたれる秀雄ではなかった。
「別にかまへんけど、シンちゃんがオイラのオキニ嬢を指名する意味あるん?一番最初に行った時の女の子でええやんか。誰やった?」
「今日いてるかどうかわからへんし。そんな馴染みやないし。」
「ほんなら受け付けの兄ちゃんに『おっぱいの大きな女の子いますか?』って聞いたろか?シンちゃん確か、おっぱいの大きな女の子選んでたよな。」
それこそ大きなお世話である。そんなことをされると進也が普段から通っていることがバレてしまうかもしれない。それは避けなければならないことだった。
「今日は行くつもりしてないし、それに何度も通うつもりもないし。」
「他にも可愛い子おるで。おっぱいの大きな子は少ないけど、女慣れするだけやから誰でもええやん。」
秀雄は何度も通っているようで、おおよそ店の状況もわかっているようだ。進也も実は負けず劣らず通っているため、秀雄が言っていることが間違ってないことも解っていた。
困っている進也を見かねて親方も口を出してくる。
「シンちゃん、今日はあきらめてヒデちゃんの言うとおりにしとき。何やったらワシがその分奢ったってもええで。」
進也はそれこそ大きなお世話だと思った。秀雄だけでなしに親方までが『エロチックナイト』への出動を促してきた。ここでついに進退窮まったのである。
しかし天の助けともいえる電話が進也のケータイに鳴り響いた。
===プルルルルル===
見たことのない番号が表示されている。
「もしもし―。」声を聞いて驚いた。なんとミホからだった。
慌てて席から離れて店の外まで駆け出た。
「もしもしミホちゃん、どうしたの。」
「もう電話番号を教えてもいいかなと思って電話したんよ。今度も人がいっぱいおるところでの待ち合わせやし。今何してんの?」
「会社の友達と飲み会してるとこ。最初にボクを『エロナイ』に連れて行った友達。」
「もしかしたら二次会、お店に行くん?」
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