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後は体調管理と情報管理に気をつけるだけだ。特に秀雄にはシークレットな情報なのだから。火曜日は叔父の法要があるとでも言っておこう。
土日はゆっくりと部屋で過ごし、酒も控えた。久しぶりに健康的な週末だった。
そして待ちに待った火曜日の朝を迎えることとなるのである。
=JR大阪駅東改札口に九時半=
それがミホとの待ち合わせの場所と時間である。
やがてミホが笑顔で現れる。
「おはよー!シンちゃん。」
今日もいつもと同じように可愛い。
「おはよー。今日もいつも通り可愛いね。」
進也は素直にそう感じたので自然と口に出た。
「うふふ。行こっ。」
今日はミホから積極的に進也の腕を組んだ。もちろん進也はまんざらでもない顔になる。
大阪駅から二十分ほど電車に揺られてから目的の駅に到着する。そして目の前にテレビでよく見た風景が現れるのである。
あらかじめチケットを購入しているので入場まではスムーズだ。
後はアトラクションの楽しみ方だけだが、ジェットコースターに乗れない進也は遊園地が苦手なのだ。それをどう克服してミホを楽しませるか、彼にとっては大きな悩みだった。しかし、どんなアトラクションがあるのかも良く知らないし、結局はミホの後ろについて行くしかないのだと諦めた。
流石に多くの人が訪れるだけのイベントパークである。見覚えのある映画のセットやキャラクターなどが目に飛び込んでくる。
「前にも宣言しといたけど、ボクはジェットコースターは苦手やからな。」
「うふふ、そうやったなあ。ええこと思い出してくれたわ。ほんならジェットコースターから乗ろか。」
進也はミホならそう言うだろうと思っていた。
いずれは通らなければならない関門である。進也も遊園地行きを承諾した時点で覚悟はしていただろうが、いざとなったら足が震えていた。
「もしかして、あの高いところから落ちるヤツも乗るん?」
「えへへ、もちろんやで。手えつないであげるさかい。一緒に乗ろな。」
「おしっこチビったら拭いてくれる?」
「いややで、チビらんように頑張ってな。」
平日でもあり、人が少ないとはいえ人気のアトラクションである。搭乗するまでに十分ほど並ぶ。並んでいる間の時間も怖い者からすれば地獄の時間だ。
やがて二人の順番がやってきて、コースターに乗り込む進也とミホ。進也はしっかりとミホの手を握っている。
「うふふ、ホンマに怖いねんなあ。」
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