◆告白・・・

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ミホはうなずいただけで、後の言葉を飲み込んだ。 プライベートではファーストキスともいえる二人にとって記念すべき夜のワンシーンとなった。この夜を境に二人は徐々に接近していくこととなるのである。 暦は神無月から霜月へと呼び名が変わり、外の風も明らかに冬の到来を予感させる冷たさに変わっていた。 四度目のデートから十日余りが経過した頃、進也はミホから届いたメールとにらめっこをしていた。メールの内容はこうだ。 「そろそろ来てくれないの?シンちゃんの顔が見えないと淋しいよ。早く次のデートの約束をしに来てね。」 冷たく通り過ぎる初冬のつむじ風は独り身となった進也の胸元を、さらに突き刺すように吹き抜けていく。 ミホから受け取ったメールも、心なしか一人身である現在の自分を誇張するかのように感じてしまう。ミホに悪気があるわけではない。進也が自分勝手に思いこんでいるだけなのである。それでも何の解決方法も持たない進也にとって、ミホからのメールは心の中の救いの一手には違いなかった。 あの夜の口づけが進也の脳裏に停滞していた。戸惑っていた。このまま恋に落ちたい自分と落ちてはいけないと思う自分との葛藤が始まっていた。     
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